北海道旭川市で5月28日・29日の二日間、レイブプロジェクト主催による「日本農業ドローンサミット」に参加してきました。全国から60名強、関係者を入れると100名弱が集まる大イベントとなりました。
これから農薬散布等の農業ドローン事業への参入を目指す事業者の方々が多数参加された本イベント。参加者のお目当ては、ラジヘリによる農薬の空中散布時代からいち早くドローンへの空中散布へとシフトし、ドローンによる農業散布を牽引してきた、レイブプロジェクトの請川博一氏とその請負散布を支えるチームの皆さんと直接交流を深めることができる点ではないでしょうか。
NTTイードローンにとっても、この貴重な機会を逃すまいと、拠点のある埼玉から代表取締役以下、「AC101」の営業責任者、営業期待のホープ、「AC101」のマスター教官の4名で参加させていただきました。
二日間にわたる熱いイベントのレポートさせていただきます。
■初日(5月28日)
前日の天気予報では「雨」予報でしたが、当日現地に出向いてみると、会場の上空だけがぽっかりと「晴」でした!
まずは、軽トラックの荷台から請川氏のオープニングスピーチ。
主催者である請川氏からご配慮いただき、代表取締役の山崎もご挨拶のお時間をいただきました。「ここに参加された方々とともに、地域の基幹産業である農業を支える農業支援代行サービスを拡大できればと考えています」とスピーチ。
主催者や関係者のスピーチの後は、早速実機デモへ。
DJI社のT30、そしてT20、最後にAC101の順番でデモを実施していきます。メーカーのデモ会(実演会)と異なり、機体の特長を説明するというよりも、長年の請負散布の経験をふまえて機体の特長を最大限活かした運用のコツを披露するのが請川氏のデモ会(実演会)のスタイルです。
まず、DJI社のT30からデモ。次に同じくDJI社のT20のデモ。(写真はT20)
最後に、AC101のデモ(実演)
各デモの詳細については、全て公開することが難しいため(せっかく旭川までいらっしゃった方々の手前)、以下の動画でダイジェストのみとなりますが、是非ご覧ください。
御覧のとおり機体のみ・操縦者のみのデモ(実演)だけではなく、インカムを装着し補助者と連携した飛行、さらには軽トラ・発電機・充電器を一式そろえて充電サイクルのノウハウまで披露する等、まさに防除の現場を再現したデモ(実演)は参加者の様々な疑問を短時間で解決する内容でした。そこに、請負散布事業に参入するため、わざわざ旭川まで足を運んでいらっしゃった参加者の方々の熱意が加わり、いつものデモ会にも増して熱量の非常に高い雰囲気となっていました。
一方で、当社としての課題も多く見つかるデモ会となりました。代理店様とともに、これまで200件を超えるデモ会を開催してきましたが、今回の請川氏をはじめレイブプロジェクトの方々のデモ会から、取り入れるべきものが多々あると感じました。今後の「AC101」のデモ会に活かしていきます。
それでも、ここまではさすがにマネできないのが、例えば動画2分20秒(https://youtu.be/S7RqMYhZv6A?t=130)前後の補助者のさりげないダッシュ等。補助者の1秒がチームの3秒のような細かいこだわりは、突き詰めると必要なテクニックになってきますが、このようなテクニックは、やはり実散布研修でしか学べないところです。
実機によるデモが終わった頃には、本降りの雨が降ってきました。ここで会場横にある屋根付きのスペースに移動し、ランチタイム。農珈屋様(https://den-en.biz/nocaya/)の美味しいスパイスカレーのケータリングをいただきました。
食べるのに夢中で写真を取り忘れました。こちらは旭川空港のフードコートにある農珈屋様のカレーを食した際の写真です。(旭川空港をご利用の際は、是非召し上がってください!)
ランチタイム後は、個別相談会を実施させていただきました。ここでは参加者からメーカーに直接様々な質問をいただきましたが、機体の質問は午前中のデモ会では解消された印象で、機体以外では「請負散布の営業」、「補助金について」の相談を多くいただきました。
まず、請負散布の営業は、農家さんからすれば大事に育てた農作物への散布を委ねることになるため、やはり信用が重要になります。しかし、新規参入する方にとっては信用が一番のハードルになります。それでも地域からの信用を得て、散布面積を増やされている方々は、以下のような共通項があると感じており、僭越ながらそのようなご助言をさせていただきました。
<実散布の経験を積むこと>
AC101のライセンスを取得する際に、法令・操縦・農薬の取り扱いの基本について徹底的に学んでいただきます。その内容は、実散布においていずれも欠けてはならない重要なものばかりです。そこで学んだことを農家さんの前で実践し、信用にしていくためには、経験を積むしかありません。最初は、散布に熟練している事業者にお願いをして、補助者(ナビ)として経験を積むことをお薦めしています。もし知人や友人に圃場を有しているかたがいらっしゃる場合、その方々の圃場で練習させていただくことも有効です。
<農家さんを訪ね歩くこと>
早期に信用を得て、請負散布事業を安定化させている方々は、ベースとなる地域を有し優良顧客となる農家さんを確保しています。その最初の一歩は、実際に現場に赴き、農作業をしている農家さんに声をかけて顔を覚えていただいたり、一軒一軒チラシを投函したりといった地道な営業活動をされている方が多い印象です。そのうち、急な病害虫等が発生し、「明日散布できる?」といった連絡がはいったときに対応できると、信用が一気にあがるようです。
このような対応を積み重ねた結果、JAや自治体から声がかかるようになり、大きな面積を獲得することもあるようです。
例外は、農家さん自らが請負散布を始める場合です。この場合、元々ご自身の圃場が散布対象になることと、周囲の農家さんとの関係性も元々有しているため、比較的スムーズに立ち上げるケースが多い印象です。
それでも、適期防除や散布対象作物の拡大、何より農業従事者の減少により、請負散布事業者へのニーズはますます拡大すると想定しています。自らのベースとなる地域を定め農家さんとの関係を地道に積み重ねることができる方にとっては、大きなチャンスがあるのではないでしょうか。
<機体に精通すること>
農業ドローンは、AC101のようなサイズでも、対人・対物で事故を起こせば大きな被害を及ぼすリスクがあります。また、小さなトラブルでも機体に不具合が発生すれば、実散布中であれば農作物に被害を及ぼす懸念もあります。そのため、メーカーとしてスクールで安全について徹底的に指導させていただいたうえで、整備士に対してもマニュアルや動画等による厳格な指導とフォローを行っています。
請負散布事業に本格的に参入される方には、できれば整備士も目指していただきたいと考えています。そうすることで機体に精通し、不具合の予兆を感じ取り未然に防ぐことができるようになり、万が一不具合が発生しても自ら迅速に対処できる可能性が高まります。
特に「AC101」はシンプルな機体のため、一度基本的な整備方法を学んでいただければ、その知識や経験が急に不要になることはありません。また、請負散布事業以外にも整備事業まで担える可能性も出てきます。
次に、補助金についてです。
補助金については、当社でも現時点は一部しか把握できていませんが、基本的には、それぞれが策定した事業計画の実現性を高めるために、自ら補助金の仕組みを理解し、自ら申請するつもりで書類作成に向き合うように助言させていただいています。そのうえで、不明な点や、申請書類の不備を補うために行政書士事務所などを頼るように伝えています。
このように盛りだくさんの内容だった初日。請川氏のクロージングスピーチで終了しました。
■二日目(5月29日)
初日から降り続いた雨も明け方にはおさまり、何とかドローンを飛行させることができるコンディションとなりました。ただし、気温は10度を下回り、とても寒い環境。参加者の皆様にとっても辛い状況だったかと思いますが、請川氏はじめレイブプロジェクトの皆様の元気にリードされて二日目も初日同様の熱量でスタート。この日は、「AC101」を用いた実散布(農薬ではなく水のみ散布)の実演会と操縦体験会でした。
(写真が寒々としていますが、実際にもとても寒かったです…)
初めての方にとっては、実際に機体をどう取り扱うかをイメージし、エントリーモデルとしてシンプルな「AC101」の良さを体験いただけたのではないかと思います。
その際、カタログスペックではなく、散布面積と散布圃場の特長を想定し、オペレーションから逆算して、機体のメリット・デメリットを説明する請川氏のレクチャーが、ここでも参加者の心をつかんでいたように感じました。
このようにあっという間の二日間(実質は一日半)のイベントでしたが、途中で記載した通り、メーカーであるNTTイードローンにとっても学びの多い二日間となりました。
当社としても、まだまだ説明しきれていない「AC101」のメリットや、請負事業者や農家さんが本当は知りたいことに関する情報発信の強化に加えて、ここに集まった参加者の方々が、長く安心してご利用いただける機体開発とサポートの強化をより一層進めていきます。
長文失礼しました。最後までお付き合いいただきありがとうございます。
請川様そしてレイブプロジェクトの皆様、イベントの企画・運営、誠にありがとうございました!
NTTイードローンでは、AC101のデモ会をお一人さまからでも承っています。
どうぞお気軽にお問合せください。
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